2012年1月25日水曜日

「これってプログレになりませんか?」



1993年にシングル「CROSS ROAD」でブレイク、その後2回の活動休止を挟みながらも常に日本のトップ・ポップバンドであり続けるMr Children。そんな彼らのどこがプログレなんだ!と怒られてしまいそうですが、ミスチルは結構プログレが好きで、とりわけピンクフロイドが大好きな んですよね。
ただ思うに、ミスチルが好きなフロイドは初期のシド・バレット時代や『狂気』をリリースしていた黄金期ではなく『The Wall』あたりの後期フロイドだと思います。その証拠に、実は彼ら「Mr Children」というバンド名の前は「THE WALLS」というバンド名だったのです!まんま過ぎて笑えますねw

さて、1994年にリリースしたアルバム『Atomic Heart』(このタイトルもフロイドの原子心母から…)が当時のオリコン最高記録である300万枚を売り上げ、1994~95年に発売したシングルがす べてミリオンセラーを記録するなど「ミスチル現象」真っ只中だった1996年に発売されたのが本作『深海』です。それまでのポップなミスチルからは考えら れないダークなアルバムで、それまでに発売していたポップなシングル曲も殆ど収録されない「問題作」でした。全曲ほぼ曲間がなく、いくつかの曲はノンス トップで繋いでいるなどプログレ的な作りになっています。
しかし…「プログレ的な作り」と言いましたが、曲間をヘリコプターの音で埋めいている所など聴いていて笑えるぐらいに『The Wall』です。「虜」という曲のギターが凄くロバート・フリップな音作りであることや、本作の発売後に行われたツアーのタイトルが「regress or progress」だった事を思うとフロイド以外のプログレも多少は意識しているのかもしれませんが…(ラストトラック「深海」の最後の叫びは Genesis「The Musical Box」のラストでピーガブが叫ぶ「なーう!なーう!」みたいだし…ってこれは結構こじつけです)

僕は小学生の時初めてこのアルバムを聴いた時、あまりに他のミスチルのアルバムから逸脱していた為あまり好きになれませんでした。しかし今、19歳の自 分が聴いてみるとこのアルバムはかなりイケます。単純に良いアルバムだし、ミスチルで唯一ぐらいに「音作りが許せる」アルバムだとも思います。小学生当時 は「深海こそミスチルで1番の傑作!」なんてポップをCD屋で見ても「どこが?」など思っていたのですが、今ならそう言いたくなる人の気持ちも分かるか な…まあ、個人的にはミスチルで好きなのは初期の『kind of love』と活動再開後の『DISCOVERY』『Q』『It's a Wonderful World』なのですが。。。

余談ですが僕が最初にミスチルとプログレの間に関係を見たのは、四人囃子の2nd『ゴールデン・ピクニックス』に収録されている「空と海の間」という曲 を聴いた時でした。この曲の一部分が凄くミスチルっぽいんですよね…最初は「もしや桜井和寿は四人囃子からも影響受けてたのか!」などと思ったりしました が、今思うと四人囃子もミスチルもこの日本でかの地のフロイドに影響を受けた面では変りなく、したがって必然的に似ている部分が出てきたわけですね。再び ミスチルがプログレに回帰してくれたら全俺が泣くんだけどなぁ…(笑)

(2011/03/23 掲載)文責 @Antimonesia